皆さんは最近寝不足にはなっていないですか?
日本は「睡眠不足症候群」の人が世界の国と比べると多いそうです。
NHKの調査によると、睡眠時間は年々短くなってきており、深夜まで脳が覚醒している人も珍しくなく、1960年代には60%以上の人が夜10時までに寝ていましたが、2000年頃から20%台に下がっているそうです。
また東京の平日の平均睡眠時間は5.59時間。世界の都市と比べて断トツで少ない数字です。
日本では、都会に住む人ほど眠れていないのが現状です。
この眠れていない状態は体にすごく悪く、様々な体の不調として現れます。
今回は睡眠不足によって体がどう変化してしまうのかを紹介します。
それでは見ていきましょう。
睡眠不足は借金としてどんどん膨れ上がる
まず知っていただきたいのが睡眠不足が続き、それを解消しないままにすると借金のようにどんどん増えて借金が膨れ上がってしまうことです。
借金のように膨れ上がることから睡眠の研究者は、「睡眠負債」と呼んでいます。
「最近寝不足だなー」「今日も夜更かししたな」と睡眠不足を軽く考えてしまうと知らない間に脳と体にダメーを与えてしまう危険因子が蓄積してしまいます。
前回の記事でもお伝えした通り一回寝不足になるとそれを取り戻すのはとても困難です。
最近では飲酒運転がすごく厳しくなりました。
飲酒運転をしてしまうことで事故を起こしやすくなり、人の命さえも危険にさらすことさえあります。
しかし睡眠負債になった人は飲酒運転を行う人と同様に恐ろしいことです。
その危険性を本人が認識していないという点では飲酒運転よりも危険かもしれません。
睡眠負債があると日中の行動に大きな悪影響がでます。
睡眠負債についての実験結果がアメリカの学会誌「sleep」に発表させています。
病院の内科などの夜勤がある科と、放射線科や内分泌科などの夜勤がない科の医師20名を対象に、翌日の覚醒状況を比較しました。
内容的には、タブレットの画面に丸い図形が約90回ランダムに出現する画像を5分間見て、図形が出るたびにボタンを押す、といった作業に取り組んでもらうというものでした。
誰でもできる簡単な作業ですが、だからこそ眠くなる作業です。
結果は驚くべきものでした。
前日に通常通りの睡眠をとっている放射線科や内分泌科の医師たちは正確に図形に反応した。
一方、夜勤明けの内科医は、図形が約90回出現するうち、3.4回も数秒間図形に反応しなかったのです。
反応しない間は医師たちは眠っていました。
さらに恐ろしいのは、夜勤明けのこの医師たちは、勤務時間中だったことです。
夜勤明けの医師たちが陥ったこのような状況をマイクロスリープ(瞬間的居眠り)といいます。
睡眠不足で起こるマイクロスリープ
マイクロスリープは1秒足らずから10秒程度の眠りを指し、脳を守る防御反応といわれたりしています。
つまり防御反応が出るぐらいに睡眠負債は「脳に悪い」のです。
睡眠負債によるマイクロスリープの大きな問題は、ほんの数秒であるがゆえに、本人も周囲も気がつかない点にあります。
- もし、運転中にマイクロスリープが起きてしまったら
- もし、取引先と重要な商談中にマイクロスリープがおきてしまったら
- もし、気になるあの子と大事な会話中にマイクロスリープが起きてしまったら
睡眠負債を抱えてしまっている人はこういう状況が平気で起きてしまいます。
運転中に起きてしまった場合、時速60キロで運転していたら4秒間意識が飛ぶだけで70メートル近くクルマが暴走することになります。
睡眠不足が続いている方は気をつけましょう。
眠らないと起こる体の不調
しますそれでは眠らないと起こる体の不調を紹介します。
眠らないと寿命が縮む
2002年にサンディエゴ大学のダニエル・F・クリプケ氏らが米国がん協会の協力を得て実施した100万人規模の調査では、アメリカ人の平均的な睡眠時間は7.5時間だった。
6年後、同じ100万人を追跡調査したところ、死亡率が一番低かったのは、平均値に近い7時間眠っている人たち。彼等を基準にすると、それより短時間睡眠の人も、逆に長時間睡眠の人も「6年後の死亡率が1.3倍高い」という結果が出ています。
短時間睡眠ができる人は遺伝なので無理にすると体の調子が狂うので気をつけましょう。
それと寝すぎもよくないので気をつけましょう。
眠らないとどんどん太る
サンディエゴ大学の調査では「短時間睡眠の女性は肥満度を表すBMI値(体格指数)が高い」
つまり太っているという報告がある。
他にもスタンフォード大学、名古屋大学、上海の交通大学でも死亡率や同じような作業ですが、体重増加の研究結果がでています。
2002年にサンディエゴ大学の研究が発表されて以来、睡眠研究者だけでなく、内科医達も睡眠の重要性を再認識して、様々な調査が行われました。
すると睡眠制限をかけると大変なことが起こるという報告が、次々と出てきました。
眠らないと、「インスリン」分泌が悪くなり血糖値が高くなり、糖尿病を招く。
眠らないと、食べ過ぎを抑制する「レプチン」というホルモンが出ず、太る。
眠らないと、食欲を増す「グレリン」というホルモンが出るため、太る。
眠らないと、交感神経の緊張状態が続いて高血圧になる。
眠らないと、精神が不安定になり、うつ病、不安障害、アルコール依存、薬物依存の発症率が高くなる。
眠らないと、認知症にかかりやすくなる。
という恐ろしい結果が今の研究で明らかにされています。
睡眠負債を返せばバスケットボールのシュート力があがる。
睡眠負債が大きくなると脳にも体にも大きなダメージがかかることはご理解頂けたとおもいます。
しかし逆をいえば、睡眠負債を返せばパフォーマンスは劇的に上がるということです。
スタンフォードの男子バスケットボール選手を被験者とした、デメント教授の興味深い研究があります。
10人の選手に40日、毎晩10時間ベッドに入ってもらい、それが日中のパフォーマンスとどう関係するかを調査しました。
具体的には、コート内で何度も折り返しのある80メートル走のタイムとフリースローの成功率を毎日記録しました。
結果は最初の数日はパフォーマンスはそれほど劇的には変わりませんでした。
スタンフォード大学のバスケットボールは強豪校でその実力はセミプロレベルです。
元々80メートルの反復走を16.2秒で走り、フリースローの成功率は10本中8本、3点スローなら15本中10本というずば抜けて高い能力の持ち主ばかりだから、大きな変化は難しいと思われました。
ところが2週間、3週間、4週間と経過するうちに、80メートルのタイムは0.7秒縮まり、フリースローは0.9本、3点スローは1.4本多く入るようになったのです。
選手自身も「すごく調子がいい」「ゲーム運びがしやすくなった」という実感を得ていました。
40日の及ぶ実験が終了し、10時間睡眠をやめたところ、選手達の記録は、実験開始前にもどってしまいました。
つまり、選手たちの集中力と思考力の高まり、エラーが減ったのは睡眠によるものだったのです。
睡眠負債をなくすだけで日々のパフォーマンスがあがるのなら睡眠はしっかりとったほうがよさそうですね。
良い睡眠を心がけて健康を手に入れよう
今回は眠らないと起こる体の不調10選を紹介しました。最後にまとめます。
- 日本は他の国と比べて睡眠時間が少ない
- 睡眠不足が続くと借金のように膨れ上がり取り返しがつかないことになる。これを研究者は睡眠負債という。
- しかし睡眠負債を返せば劇的なパフォーマンスの向上が期待できる。
です。
「睡眠不足、恐るべし!」ですね。
逆に今の自分に紹介した不調がみられるなら睡眠不足を疑ってもいいかもしれません。
睡眠の大切さをわかってもらい、よい睡眠をとっていただけたら嬉しいです。
次回はまたたっぷり寝ても疲れが取れない理由を紹介します。次回もお楽しみに!