「皆さん、最近の体調はいいでしょうか?」
「ここ最近、寝ても疲れがとれない。」
「集中力がすぐ切れる。」
「元気が出ない。」
などこれらの原因は不規則な生活や過度のカロリー摂取、仕事のストレスなどの影響でこういった症状が起こるといわれています。
そしてこういった症状を今、文明病といわれるようになりました。
文明病は朝起きてもどこか体調が悪く、仕事についてもやる気が起きない。仕事で疲れきって帰って眠る。という悪循環を引き起こしてしまうというとんでもない病気です。
現代は文明の発達でいろんなものが便利になりました。物は溢れ、食べ物や服にも困りません。スマホを開けばいろんな情報をすぐ見ることもできます。
しかし文明が発達すればするほど私たちは不健康になりやすくなります。
文明の進歩をうまく取り入れながら生きる必要があるのです。
そしてこの文明病の根本的な原因は「心の不安」と「体の炎症」によって引き起こされます。
そこで今回は文明病を引き起こす不安と炎症が体にどのように害を及ぼすかを紹介していきたいと思います。
それではみていきましょう。
炎症が長引くと全身の機能が低下する
まずは体に炎症が起きると全身の機能が低下します。
あなたがつまずいて転んでしまい、足を擦りむいたとします。
すると擦りむいた所からは血が出て、そして赤く腫れ上がってきます。これが「炎症」というものです。
炎症反応は、体がなんらかのダメージを受けたときに起きます。
有害な刺激を取り除こうと免疫システムが起動し、ケガを重複すべく働き出すわけです。
炎症そのものは進化の過程で人体に備わった防御システムであり、私たちが生きていくために絶対に欠かせないものです。
大事なのは、炎症が体の表面にだけに起きる現象ではない点です。
たとえば、関節炎はヒザやヒジの炎症で痛みが起きた状態ですし、アレルギーの場合は、外から入ってきた異物に免疫システムが過剰に反応し、目の充血や鼻づまりといった暗唱反応が起きた状態です。
どんな場所でも炎症は発生するのです。
切り傷や火傷といった短期の症状なら問題ありませんが、長期の感染やアレルギーのように炎症が長引くとなると一気に話は変わってきます。
人体を守るために免疫システムが激しい戦いを繰り広げるせいで、血管や細胞といった周辺組織にまでダメージがおよび、やがて全身の機能が下がっていってしまいます。
戦争が長引いてしまい水道管や電線が破壊され、やがて国力も下がってしまうのによく似ています。
内臓脂肪が減らない限り体は燃え続ける
ここで「内臓脂肪」について考えてみましょう。内臓脂肪は肝臓や腸といった臓器のまわりにこびりつく体脂肪のことです。
人体にとって、内臓脂肪は「異物」でしかありません。そのため 私たちの体は、内臓脂肪が増えると免疫システムを動かしはじめ、脂肪細胞が分泌する炎症性物質が臓器に炎症を引き起こします。
しかし、いくら免疫システムが頑張っても、内臓脂肪ばかりはどうにもなりません。
体脂肪を落とすには、食事や運動でカロリーを減らすしかないからです。
内臓脂肪が減らない限り体はジワジワと燃え続け、炎症性物質で傷ついた血管や細胞が動脈硬化や脳梗塞の引き金になります。これが「メタボリックシンドローム」の発症プロセスです。
このタイプの炎症には、はっきりとした自覚症状がありません。風邪のように分かりやすい症状が出ないため、「なんだか調子が悪い」や「よく寝たはずなのになぜか疲れている」といったレベルの、謎の体調不良として認識されるケースがほとんどです。
そのせいで多くの人は不調の原因がわからないまま時間を過ごし、炎症が進行し、大きな病へのカウントダウンを続けていきます。
2017年にカロリンスカ研究所のチームが行った有名な調査を見てみましょう。
研究チームは約5万人のスウェーデン人体男性を集め、簡単な質問に答えたもらいました。
「全体的にみて、現在のあなたの健康状態はどれに当てはまりますか?『とても良い、良い、普通、悪い、とても悪い』」
続いて被験者の炎症マーカーを調べたところ、興味深い傾向が確認されました。
この質問に「体調が悪い」と答えたものほど、体内の炎症レベルが高かったのです。
要するに、主観的に「なんだか体調が・・・」と感じている人は、その時点ですでに体内が燃え盛っている可能性が大きいと言えます。
もしいまの健康状態が「普通」より良ければ問題ありませんが、「悪い」か「とても悪い」だった場合は、体内の炎症はかなり進んでいます。
謎の不調と炎症は、明確に連動しているのです。
慢性炎症は、脳の機能にも激しいダメージを及ぼします。
代表的な例は「鬱病」です。
人体がなんらかのダメージを受けるとサイトカインという炎症性の物質が分泌されます。
この物質が脳の機能に影響を与え鬱病を発生させると考えられています。
現時点ではサイトカインが鬱病を引き起こす経路はまだわかっていませんが、過去に行われた2件のメタ分析でも鬱病患者の多くに炎症マーカーの増加が確認されています。
メタ分析は過去に行われた複数の実験データをまとめて大きな結論を出すこと研究法のことで、科学的な信頼性が高い研究手法のひとつです。
鬱病の炎症モデルは、かなり精度の高い仮説だと考えられます。
現代は不安の時代
現代が「不安の時代」であることは、多くのデータが示しています。
2013年にワシントン大学が44ヵ国のデータをまとめたメタ分析によれば、不安障害を患う人の数は全世界で13人に1人もの割合に達するようです。
人生のどこかで不安障害に苦しんだ人の数までカウントすれば、発症率は3人に1人まではね上がります。
日本でも不安障害の数は増え続けており、2011年の厚労省調べでは不安障害の治療を受けている患者の数はおよそ157万人。この数字は1996年のデータの約2倍です。
しかし、現代は不安な時代と言われても、すぐ納得できる人は少ないでしょう。現代人にとって「不安」は日常な感情ですし、厳しい環境で暮らす原始人だって日常的な気苦労があったはずです。
実際には、人類と不安のつきあいは長く、1621年に刊行の書籍「メランコリーの解剖学」には、スピーチ不安症にかかった男性の事例が掲載されています。紀元前5世紀にヒポクラテスが残した文書にも、現代の「社交不安障害」にそっくりな症状が描写されているほどで、不安はつねに人類とともにありました。
ところが、いっぽうで不安障害の発症率には大きな地域差があるのも事実です。
2017年にWHOが世界的26ヵ国で行った調査では、不安障害の患者数は、ほぼ各国の近代化のレベルに対応していました。アメリカやオーストラリアでは、不安障害の発症率が8%前後のだったのに対し、ナイジェリアのような発展途上国ではたったの0.1%にしか過ぎません。
文明化には、現代人の不安を促進する何かがあるようです。
不安は記憶力、判断力を奪い、死期を早める
不安は、現代人の脳のパフォーマンスとQOL(人生の質)に多大な影響を及ぼします。
代表的な例を3つ挙げましょう。
第一に、慢性的な不安はあなたの記憶力を低下させます。
2013年にインド国立生命化学研究センターが行った研究によれば、つねに何らかの不安を感じている人には、脳の海馬が小さくなる現象が認められました。海馬は大脳辺縁系の一部で、新しい記憶や学習能力などに係る器官です。
第二に、不安は、あなたから理性的な判断力を奪います。
物事がうまく進んでいるときには、私たちの脳は衝動や欲望を抑えつけることができます。しかし、不安感が高まると様々な化学物質の連載が起こり、より原始的な脳の働きが優勢になっていくのです。不安が起きた瞬間からに倫理的な判断力を失ってしまうケースは、誰にも心当たりがあるでしょう。
第三に、不安はあなたの死期を早めます。
2013年の観察研究では、約7万人の高齢者を10年にわたって追いかけたところ、日常の不安レベルが高い人は心疾患や脳卒中のリスクが29%も上昇していました。
その原因ははっきりしないものの、研究チームは「不安が強い人は自分を大事にしなちならではないか?」と推測しています。不安な気持ちが自尊心を低め、過度な飲酒や運動不足につながるというわけです。
不安は鬱病から自殺へと進む確率が高い「死に至る病」でもあります。脳のパフォーマンスが下がるだけならまだしも、命は守るようにしましょう。
不安は危険を知らせるアラームの役割
それでは「不安」の存在理由はなんでしょう?人類の進化のなかで、「不安」はどのような役割をはたしてきたのでしょうか?
結論から言うと、不安の機能は「アラーム」です。
目の前の草が動いたのは、奥にライオンがいるからではないか?この葉っぱを食べたら体を壊すのではないか?このような、まだ正体があきらかではない存在の危機を察知し、事前に対策を取れるようにアラームを鳴らすのです。
これは人類にとって最も重要な機能のひとつです。不安がなければ人類は未来の危険になす術がなく、程なく絶滅に至ったでしょう。
いっぽうで「喜び」や「楽しさ」といったポジティブな感じがなくても、すぐに命の危機に結びつきません。もちろん喜びのない人生など送りたくはありませんが、少なくとも人類の進化においては、ネガティブな感情の方が役にたってきました。
その証拠に心理学の世界では、「ポジティブな感情よりもネガティブな感情のほうが強度が高い」という現象が昔からの確認させてされてきました。
有名なのは、2004年にロードアイランド大学が行った実験です。研究チームは、有名IT企業で60個の事業部が調べ、収益の高さや顧客の満足度をもとに優秀なチームとダメなチームの違いがどこにあるのかをチェックしました。
結果は、研究者にとっても意外なものでした。もっとも収益が高かった事業部のメンバーは、仕事中にポジティブな発言してをする割合が、ネガティブな発言の6倍も多かったのです。
これはつまり、「今月の売り上げは最悪だ・・・。」のように不安なコメントの悪影響をひとつ打ち消すためには、「君がいなかったらこの店は成り立たないよ」といったポジティブなコメントを6つもぶつけねばならないことを意味します。
それぐらい、ネガティブな感情は私たちの心をかき乱す劇薬なのです。
ちなみに2つのコメントの量が同じだった場合でも、私たちのパフォーマンスは大きく低下するようです。
ポジティブとネガティヴの不均等は、古代の環境であれば良い方向に働きます。不安の影響力が強いおかげで人類学は猛獣の脅威から逃れ、感染や寄生虫のリスクを抑え、子孫を繁栄させてきました。
ところが、不安の質が変わった現代では、かつてはうまく働いた機能が動作しません。
不安のせいでアラームが誤作動を起こし、やがて頭の中で非常ベルが鳴りっぱなしの状態になっていくからです。
炎症と不安を解消して健康になろう
今回は体を最も不健康にする不安と炎症を紹介しました。
最後にまとめます。
- 体の中に長期的に炎症が起きると体の機能が低下してしまう
- 体調が悪い原因がわからない方は体の中に炎症が起きている可能性が高い
- 不安は記憶力を低下させ、判断力を奪い、そして死期を早めてしまう
- 不安は自分の身を守るアラーム。しかし現代ではネガティヴな感情は影響が強いため不安になりすぎると仕事の業績が悪くなる。
- ネガティヴな発言をしてしまったらポジティブな発言を6つ言わないといけない。
です。
これから何記事かにわたって不安と炎症を解消する方法を紹介していきます。
不安と炎症を解決できれば今の人生を何倍も楽しめることができると思います。
まず次回は腸内フローラについてです。
腸内環境を整えれば体にいいことがあるというのはご存知だとおもいます。
炎症を治す腸の整え方を紹介していきます。
次回もお楽しみに!